整備士が着る作業服の選び方とは?季節別から見る着方もあわせて解説 2022.03.13
整備士が行う仕事内容とは
整備士の主な仕事内容は、車両や機械類の点検・修理・整備などを行うことです。
自動車整備士の場合は、顧客から預かった車の状態を点検し、車体を分解するなどして不良箇所の修理や整備をします。様々な機械や工具類を扱う仕事で、熱くなったエンジンやオイルなど危険性のあるものを取り扱う場合もあります。
仕事内容の性質上、オイルやサビなどで体や作業着が汚れることも多くあります。
整備士が着る作業服の選び方
前述のとおり、整備士の仕事は様々な体勢で機械類を分解したり組み立てたりするため、作業服には動きやすさが求められます。また、熱や火気を扱うこともあり、安全性に配慮されたものを選んだ方が良い場合もあるでしょう。
ここからは、作業服の選び方のポイントを紹介していきます。自分の仕事内容と照らし合わせながらチェックしてみてください。
つなぎタイプのものを選ぶ
つなぎは上着とズボンがつながった形の服で、前面中央に首元から大きくファスナーが付いている前開きのものが大半です。ジャンパースーツやオールインワンとも呼ばれます。
つなぎタイプは体を動かしやすいため、整備士だけでなく塗装業や清掃業、農業など様々な分野で多く着用されている定番の作業服です。
つなぎタイプの作業服を選ぶ際は自分の体形や作業時の動きなどを考慮し、適度なゆとりのあるサイズを選ぶと良いでしょう。また着用する季節を考慮した素材選びも大切です。
つなぎタイプの利点
つなぎタイプの作業服はウエスト部分がつながっているためベルトを締める必要がありません。バックルなどの金具や出っ張りがないため、作業中に整備している車などを傷つけてしまう心配を減らすことができます。
腰から裾が出たりズボンがずり落ちたりすることもないため、機械の巻き込み事故などの防止につながるという点もメリットの1つです。
また、つなぎは上下がつながっており隙間がないことから、塗料やほこりなどが服の内側に入り込みにくいほか、冬場は保温性があり暖かいといった特徴もあります。
つなぎタイプの欠点
つなぎタイプの作業服に慣れていない場合は、着脱に時間がかかるでしょう。また、大きすぎるサイズを選ぶと、見た目が悪いだけでなく服のダブつきが体の動きを妨げてしまう可能性もあるため注意しましょう。
また、夏場は隙間の少ないつなぎタイプは熱がこもりやすくなります。そのため、季節に応じてメッシュが入ったものや速乾性に優れたものを選ぶなどの工夫が必要です。
高い収納力があるものを選ぶ
整備士の仕事は作業中にドライバーやスパナ、ライト、軍手など様々な工具類を持ち歩きます。必携アイテムの多い場合は、高い収納力がある作業服を選ぶと良いでしょう。
作業服のポケットはペン差しのように細長いものからノートやタブレットが入るくらい大きなものまであり、形状は商品によって様々です。
例えば、ふたやファスナーが付いていないポケットは出し入れがしやすいため、スマートフォンやメモ帳などを入れるのに適しています。体を動かしても中身が飛び出さないように入り口の構造が工夫されているポケットもあります。
入れたい物の特徴と照らし合わせながら、ポケットの数や位置、サイズ、構造などをチェックして選びましょう。
動きやすいものを選ぶ
作業服に動きやすさを求める場合、以前は大きめサイズやゆとりのあるシルエットのものが選ばれる傾向がありました。しかし、最近では作業服にも伸縮性の高い素材が取り入れられるようになり、ストレッチがきいた細身タイプなどの選択肢が増えています。
スムーズに動ける作業服は、体の負担の軽減や作業効率アップといったメリットが期待できます。デザイン性も重視しながら動きやすい作業服を探してみましょう。
周りに傷を付けにくいものを選ぶ
作業服に金具や出っ張りがあると、誤って車などを傷つけてしまう可能性があります。
こうした危険を避けるためにも、ボタンの代わりにマジックテープを使っているものや、ファスナーやボタンを隠す比翼仕立てになっているものなど、周りに傷をつけにくい仕様の作業服を選ぶことが大切です。
汚れが落ちやすい機能があるものを選ぶ
整備士の仕事では機械油やサビ、汗など様々な汚れが付きやすいため、洗濯に苦労しているという方もいるでしょう。
最近では、素材に特殊な加工を施し、汚れが落としやすい機能や付着しづらい機能を持った作業服も販売されています。
作業服の汚れが落ちにくく困っているという方は、こうした防汚加工された作業服を試してみるのも良いでしょう。
怪我をしにくいような丈夫なものを選ぶ
整備士は様々な部品や工具に触れる機会が多い仕事です。容易に破れてしまうような素材の服を身につけていると怪我につながる危険性もあるため、作業服を選ぶ際には安全面にも気を配る必要があります。
生地の耐久性もチェックして丈夫な素材でできているものを選びましょう。
難燃性があるものを選ぶ
整備士の仕事では、エンジンの熱や火花などの影響を受けることもあります。
やけどなどのリスクを減らすため、着火しづらく燃えにくい性質を持つ難燃性素材を使用した作業服も検討してみましょう。
帯電防止機能があるものを選ぶ
整備の現場で静電気が発生すると様々な支障が出る可能性があり、最悪の場合、火災につながる危険もあります。
作業服を選ぶ際は、静電気の帯電を防ぐ効果のある素材を使用しているかという点も考慮して選ぶと安心でしょう。
暑い季節における整備士の作業服の着方
夏場に気温が上がると整備工場などに熱がこもりやすくなり、熱中症のリスクも高まります。より快適に、そして安全に仕事をするためには、作業服の着方にも工夫が必要です。
ここからは、暑い季節の作業服の着方について3つのポイントを紹介します。熱中症対策としてもぜひ取り入れてみてください。
ファン付きウェアタイプを選んで着る
ファン付きウェアタイプの作業服は、ファンが回ることで取り込まれた外気が服の中で循環し、適度に体が冷やされる仕組みです。最近はブルゾンタイプやベストタイプなど様々な種類のものが販売されています。
このようなファン機能の付いた作業服を身につけると余計な汗をかかず快適に作業できるため、夏場の熱中症対策として活用してみると良いでしょう。
ポリエステル素材のインナーを着る
汗をかきやすい夏場の肌着やスポーツウェアとしてよく利用されているポリエステルは、作業服のインナーとしてもおすすめの素材です。
ポリエステル素材は繊維が水分を取り込みにくく速乾性があります。また、摩耗に強い性質から洗濯に対する耐久性が高いというメリットもあり、手入れが容易なのもうれしいポイントです。
サロペットを併用する
サロペットはつなぎ服の一種で、胸当てがついた吊りズボンのことです。背中にも当て布があるタイプはオーバーオールと呼ばれます。
サロペットやオーバーオールはズボンをストラップと当て布のみで吊っているため上半身に開放感があるのが特徴です。
最近では腰回りや胸当ての部分に、金具が表に出ないよう工夫されたサロペット型の作業服なども販売されています。全身を覆うタイプのつなぎ作業服に比べて涼しく着用することができるため、季節に応じて併用するのもおすすめです。
寒い季節における整備士の作業服の着方
冬場の整備士は、暖房を使用できない工場など厳しい環境で仕事をしなければならない場合があります。車の出入りや換気などのために冷たい風が入ってくる場所で作業をすることも少なくありません。
少しでも暖かく快適に仕事をするためには、服装で防寒対策をする必要があるでしょう。
防寒着用のつなぎを着る
セパレートタイプに比べると暖かいつなぎタイプの作業服ですが、通年用モデルを着ていると冬場の仕事環境では防寒性が足りないと感じることもあるでしょう。
作業服には防寒仕様の充実した秋冬モデルがあり、生地に中綿が入った保温性が高いものや、衿にボアが付いたものなど、様々な種類が売られています。
機能も多様で、例えばズボンの裾にアジャスターが付いているタイプは裾を絞って履けるため、足元から風が入るのを防ぐことができます。
寒さに弱いという人は、気温に応じて秋冬モデルのつなぎを選びましょう。
コンプレッションや電熱ベストを重ね着する
最近では様々な機能を持つコンプレッションウェアが販売されています。裏起毛やハイネックなど防寒性が高い仕様になっている冬用タイプも種類が豊富で、コンプレッションを作業服のインナーとして使っているという方も多いのではないでしょうか。
コンプレッションのみでも防寒対策になりますが、電熱ベストを重ね着すればより効率良く体を暖めることができるでしょう。
ストレッチ素材で程よい着圧感のあるコンプレッションと袖のないベストの組み合わせは、上からつなぎを着ても着ぶくれや動きづらさが生じにくいというメリットもあります。
整備士が着る作業服の選び方を理解しよう
整備士が着る作業服には、動きやすさや安全性などが求められます。また、どのようなポケットがあったら便利か、難燃性や帯電防止機能は付いていた方が良いかなど、各自の仕事内容に合わせて作業服に必要な要素を検討することも大切です。
本記事で紹介した作業服の選び方を参考に、自分の仕事ではどの要素を優先したいのかを考えながら、自分に合う作業服を選びましょう。