工場でできる暑さ対策13選|熱中症を防ぐコツや作業しやすい室温についても解説 2022.02.17
そもそも工場はなぜ暑いの?
工場内が暑くなる原因は建物の造りや材質、稼働している機械の影響などさまざまです。
太陽光で暖められた屋根や壁から、温度の低い工場内へと熱は伝わります。使用している機械から発生した熱で空気が暖まり暑さを感じる場合もあるでしょう。
省エネやコストカットを目指し空調の温度を高めに設定している工場、換気や空調設備が整っていないところでも温度は上昇しやすくなります。
工場でできる設備面の暑さ対策
事業者は、工場内で快適に働ける環境を作るために設備を整えなければなりません。暑さ対策に導入できる設備はいくつか存在しますが、工場により導入可能なものと不可能なものがあるでしょう。
ここからは、設備面における暑さ対策の主な方法を紹介していきます。どのような設備が工場に相応しいのか見ていきましょう。
ビニールカーテンで空間を仕切る
熱源には吸排気フードを付ける
スポットクーラーを付ける
自動空調に変える
大型扇風機を置く
断熱フィルムを活用する
屋根に散水するスプリンクラーを付ける
1:ビニールカーテンで空間を仕切る
広い工場内は、ビニールカーテンを利用し空間をいくつかに仕切ると効率よく冷やせます。冷房設備が導入されていても、広さのある工場全体へ冷気を行き渡らせるのは困難です。
ビニールカーテンを使うと冷たい空気が仕切られた空間の中に留まるため、空調の効果を十分発揮できます。工場の状況に合わせて自由に設置し撤去することも可能です。簡易的な間仕切りのためコストも抑えられるでしょう。
2:熱源には吸排気フードを付ける
機械から出る熱により工場全体の温度が上ってしまう場合があります。機械の熱による暑さへの対策として効果的なのが排気フードです。
熱源に排気フードを付けると局所排気が可能になり、暑さのもとになる熱や湯気などが工場全体へ広がるのを防げます。室温が上昇しなければ、冷房を使って適温を保つ際のコストも抑えられるでしょう。
3:スポットクーラーを付ける
風が当たる部分のみを涼しくできるスポットクーラーも、工場内の暑さ対策に向いています。作業場所が限定されているとき、一定の箇所だけを効果的に冷やせるため無駄がありません。
スポットクーラーはキャスターによって場所を移せる移動式や首振り機能付き、省スペースで使えるスリムタイプなど製品により特徴が異なります。使用状況に合わせ使い勝手の良いタイプを選ぶといいでしょう。
4:自動空調に変える
工場内の温度を一定に保ちたい場合、空調設備を自動空調へ変えると便利です。しかし、すべてを自動空調へ変更するにはかなりの費用がかかります。使用中の設備をそのまま使い、後から自動空調システムを取り付けるとコストを抑えられるでしょう。
自動空調を導入すれば手動による温度管理の手間が省け、ほかの仕事に集中できます。温度を下げすぎる心配もなくなり、省エネも実現しやすいでしょう。
5:大型扇風機を置く
大型扇風機を設置し、暖まった空気を循環させると暑さ対策になります。大型扇風機は使用場所に合わせて壁掛けタイプや、床置きタイプなど種類の選択が可能です。エアコンと併用すると冷気を工場全体へ送れるでしょう。
大型扇風機は稼働中に排熱が発生せず、導入時にかかる費用や使用時の電気代が少ない点でエアコンよりも優れています。ただし風により埃が舞うため、工場によっては不向きな場合もあるでしょう。
6:断熱フィルムを活用する
窓に断熱フィルムを張ると太陽光による室温の上昇を抑えられます。断熱フィルムもコストをあまりかけずに暑さ対策が可能です。張替までの目安は10年程度と言われています。
断熱フィルムで熱のみをカットし光を取り込めば、工場内が暗くなる心配もありません。温度を下げる際のエネルギー消費を抑えられるため、省エネにもつながります。
7:屋根に散水するスプリンクラーを付ける
直射日光にさらされる屋根部分にスプリンクラーを設置して水を撒くと、打ち水と同様の効果が得られ暑さ対策になります。屋根からの熱が伝わりにくくなるため、工場内の温度は何もしない状態よりも低く抑えられるでしょう。
スプリンクラーはあまり日数をかけず比較的簡単に取り付けられます。作動中の電気代や水道代が発生する点と、使用し続けていると屋根がダメージを受ける可能性があることを理解した上で導入を決めましょう。
工場でできる服装面の暑さ対策
室温がコントロールされている場合も、作業時に個人でできる暑さ対策を併せてしておくとより安心です。ここからは、個人で工夫できる服装や活用できるグッズを紹介していきます。使いやすそうなものを見つけ取り入れてみましょう。
放湿性・吸汗性のある下着を着用する
冷却タオルを首に巻く
ファン付きウェアを活用する
冷感スプレーを使う
ボディシートをこまめに使う
保冷剤入りベストを着用する
1:放湿性・吸汗性のある下着を着用する
身に着ける下着によっても体感温度は変わります。気温の上がりやすい工場内で着るのに適しているのは、素材に複合繊維が使われている放湿性や吸汗性のある下着です。
吸い取った汗を放出できる蒸れにくい素材の下着を着ていれば、気持ちよく作業に取り組めるでしょう。
機能性に優れた下着はサイズの選び方を間違えると思うように効果を発揮してくれません。ゆとりのあるサイズではなく、肌にぴったり密着するものを選びましょう。
2:冷却タオルを首に巻く
暑いときは、冷却タオルを首に巻いて身体を冷やすのも有効です。冷却タオルは大きく分けると3つの種類があり、価格はどれも同じくらいです。
接触冷感タイプは首にかけると触れた部分がひんやりします。瞬間冷却タイプは水で濡らして振ると気化熱により冷たくなる仕組みです。保冷剤を使用するタイプは凍らせてポケットへ差し込んでから利用します。
肌触りや使いやすさを考え、生地の素材や冷却力に注目し選んでみましょう。
3:ファン付きウェアを活用する
作業服の内側にファンが付いているウェアを活用すると、暑さを軽減できます。ファン付きのウェアは外から取り込んだ空気を内側に送り、汗を乾かし気化熱で作業着内の温度の上昇を防げるものです。汗によるトラブル対策にも利用できるでしょう。
少しゆとりのあるサイズを着用すると風が通りやすくなり、気化熱による効果を十分発揮できます。ウェアの生地により着心地や洗濯の容易さが違うため、購入前にチェックしておきましょう。
4:冷感スプレーを使う
衣類に吹きかけるタイプの冷感スプレーも、工場での暑さ対策に利用できます。普段着ている作業着にスプレーするだけで体感温度が下がりひんやりと感じるでしょう。1本持っておけば作業着だけでなく靴下、帽子、タオルまで幅広く使えます。
使い方は簡単ですが、冷たさはそれほど長く続きません。暑さを感じたら繰り返しスプレーしましょう。
5:ボディシートをこまめに使う
ボディシートを使いこまめに汗を拭き取ると、べたつきによる不快感が減り爽快な気分になれます。清涼感のあるシートを使えば、拭いた後にひんやり感が残り気持ちいいでしょう。
ボディシートは首筋をサッと拭くだけでもリフレッシュできます。大判タイプやメントールの強いタイプ、肌に優しいタイプなど種類も豊富で手に入れやすいため、暑さ対策に重宝するでしょう。
6:保冷剤入りベストを着用する
着るだけで体の熱を効果的に下げられる保冷剤入りベストを着用してみましょう。ベストに付いているポケットへ冷たい保冷剤を入れて着るだけで、ひんやり感を味わえます。
製品により保冷剤を入れる場所、装着できる数、保冷剤の大きさが違い、ベスト本体の素材や着丈も異なります。また、動きやすさも考慮しましょう。
冷やせる時間を左右するのは保冷剤です。長い時間冷やすには保冷性能の高い保冷剤が必要になります。
ファン付きウェアを着用すべき理由
夏場、さまざまな理由から温度が上がりやすい工場内で作業していると、衣類の内部が暑くなり体に負担がかかります。ファン付きウェアを着用し熱がこもりにくくなると、動きやすくなり個々のパフォーマンスは上がるでしょう。
暑さ対策にファン付きウェアを取り入れるとほかにも良い点があります。コスト面や使い勝手の面から着用すべき理由をチェックしてみましょう。
割と安価で手に入る
ファン付きウェアを導入すると、さまざまな設備を揃えるよりも暑さ対策にかけるコストを抑えられます。便利な機能が付いているにもかかわらず1枚あたりの購入価格は比較的安価です。工場で揃える場合、規模によっては導入費用をあまりかけずにすむでしょう。
バッテリーや充電池を使うファン付きウェアは充電だけで使用でき、ひと月あたり数十円程度しかからないため、導入後にかかる電気代の面でも差が出ます。
どんな環境でも涼しい
ファン付きウェアはどんな環境でも着用可能です。屋内作業中だけでなく、屋外でも効果を実感できます。暑い日の屋外作業時も、ファン付きウェアを身に着けていれば汗による不快感が抑えられ、スムーズに作業をこなせるでしょう。
風を起こすファンは充電池やバッテリーにより動くため、充電が切れてしまわない限り回し続けられ涼しさを保てます。作業時間が長いときは予備を準備しておくと安心です。
工場で熱中症にならないためにできること
屋内であっても体感温度が高くなりやすい場所では、熱中症に注意しなければなりません。個人でできる服装やグッズ以外の対策も知っておきましょう。
ここからは、熱中症の予防方法について説明していきます。熱中症の危険があることを常に意識しリスクを回避していきましょう。
塩分と水分は欠かさず摂る
適宜休憩室で休む
熱中症の症状について知識を得ておく
1:塩分と水分は欠かさず摂る
暑い場所での作業は汗をかきやすく、水分の補給が欠かせません。のどが渇いたと感じる前に水分摂取するのがポイントです。
水分を摂るときは一緒に失われてしまった塩分も補いましょう。スポーツドリンクは、塩分のほか必要なミネラルも同時に摂れます。塩分補給用のタブレットやキャンディーを利用するのもいいでしょう。
塩分や糖分などの摂取を制限されている場合は、かかりつけの医師に相談し無理のない範囲で摂りましょう。
2:適宜休憩室で休む
気温、湿度の高い時期は休憩室で時々休み、体調を気遣いながら作業に励んで熱中症を防ぎましょう。体調が優れない日は特に注意が必要です。
休憩を入れると、体に負担のかかる環境の中で無理して長時間作業するより効率も上がります。休憩中にそのほかの暑さ対策も取り入れていきましょう。
3:熱中症の症状について知識を得ておく
症状に関する知識を得ておくと熱中症になりかけていることにいち早く気づけ、重症化を防げます。
作業中に顔のほてりや大量の発汗、立ちくらみなどが表れたときは熱中症になりかけている可能性があるでしょう。手足のしびれやこむら返りが出た場合は塩分の不足が考えられます。
頭痛や吐き気、倦怠感が出る中等症まで進まないよう、応急処置が可能なうちにきちんと対応しましょう。
出典:熱中症とは?|公益社団法人 全日本病院協会
参照:https://www.ajha.or.jp/guide/23.html
工場で熱中症にならないように暑さ対策は万全にしよう
安全面を重視した作業着を着て工場内で作業する際に、暑さ対策は必須です。室温の感じ方には個人差があり、働きやすい温度が保たれていても皆が快適に作業できるとは限りません。個人でも暑さや熱中症を防ぐ対策は必要です。
熱中症対策向けの作業着やグッズは、使い勝手の良いものが多く販売されています。快適に作業に取り組めるよう、数種類の方法を組み合わせ暑さ対策を万全にしましょう。
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