工事現場で着る作業着はどう選ぶ? 主な機能や作業環境を考えた服の選び方 2021.05.26

工事現場で着る作業着の主な7つの機能

工事現場は多くの危険と隣り合わせの仕事場です。直接的な危険だけでなく、環境がもたらすストレスなども事故の発生要因となる可能性があります。そのため、長時間身につける作業着には、諸々のリスクから作業員を守るための多角的かつ特化した機能が求められるでしょう。

 

快適さを保ち、事故を防ぐための観点は様々です。ここでは代表的な7つの機能を紹介します。

 

1:ストレッチ素材を使用した服

安全かつ効率的な仕事のためには、快適さが重要でしょう。関節の可動域が狭まるようなかたい服は窮屈なだけではなく、繊細さを要する作業や咄嗟の動きに支障をきたす恐れがあります。これを解決するのが、伸縮性のある生地でしょう。

 

ストレッチ素材は服に伸縮性を持たせる素材です。体の動きに合わせて伸び縮みするため作業を妨げず、快適な着心地となるでしょう。ストレッチ性という長所を持つ作業着は、活躍する工事現場を選びません。

 

2:撥油・撥水・防汚機能

油剤や泥水を始め、工事現場に油と水は付き物でしょう。急な雨に降られたり、オイルミストが飛散したりする可能性もあります。こういった汚れの定着を防ぐのが撥油・撥水・防汚機能です。

 

液体をはじいて浸透させないというのが基本的な仕組みで、加工された服は耐久性も向上しやすくなります。かつてはフッ素による繊維加工が主流でしたが、現在は更なる機能の発展や環境への配慮を目指し、各フッ素樹脂メーカーが新素材の開発に取り組んでいるようです。

 

3:蓄熱・保温機能

冬の現場は、屋内も屋外も冷え込みます。体が凍えてしまうと作業効率の低下や労働災害の恐れがあるため、できるだけ暖かくしたいものです。しかし、防寒のために厚着すると動きづらくなったり蒸れたりする可能性があります。

 

そのようなときに寒さ対策となるのが作業用防寒着です。生地内部に暖かい空気を溜め込むことで保温するこの機能は、暖かさと軽さの両立を必要とする工事現場に適しているでしょう。

 

4:帯電防止機能

工事現場において静電気は、精密機器に悪影響を及ぼすだけでなく、着火や爆発といった大事故に繋がることもあり得る危険な現象です。現場次第では、安全確保のために帯電防止機能が必須となります。

 

帯電防止作業着には、一般的な衣料品よりも高機能な導電性繊維が主として用いられています。織り込まれた導電性物質を介して電荷を消散させる仕組みを取っており、湿度の影響をほとんど受けないといわれています。

 

5:抗菌・防臭機能

工事現場の服は、季節を問わず臭いが発生する可能性があります。要因として現場で付着する油や汚水、労働による汗、それらを餌とした菌の増殖などが挙げられるでしょう。また、夜間作業による昼夜逆転や、雨期など部屋干しを多用する状況も原因の一部となります。

 

悪臭の防止と衛生には抗菌・防臭加工が効果的だといわれています。個人の快適さのためだけではなく、商談や接客など外部の人と対面する機会がある人にもおすすめの機能でしょう。

 

6:防炎機能

火気使用による火花、煙草の不始末、夜間の放火など工事現場には多くの火災リスクがあります。実際に事故が起きてしまった場合の被害を最小限に抑えるためにも、防炎機能の需要は高まっているようです。

 

防炎機能には、大きく分けて防炎加工と難燃繊維の2種類があります。防炎加工は可燃性の繊維素材に難燃剤を加工するもの、難燃繊維はそれ自体が燃えにくい性質を付与された繊維です。どちらも不燃ではないことに注意が必要でしょう。

 

7:速乾機能

汗を吸った服は、不快な臭いや感触がする場合があります。更に服が濡れたままだと体を冷やしたり疲労が早まったりする可能性があります。これを解消するため、作業着には汗を吸収する力と乾く速さが求められます。

 

汗に対して快適さを維持するための機能は、主に吸水速乾と調湿(吸湿)の2つがあります。吸水速乾は水分の吸収と乾燥に優れ、洗濯後も速く乾くことが特徴です。調湿は通気性に長けた機能で、蒸れを防いでくれるでしょう。

 

工事現場用の作業着を探すコツ5つ

作業着はその形状からジャケット、シャツ、パンツ(ズボン)、ツナギの4種類に大別されます。更にジャケットだけでもジャケット、ベスト、空調服などと分類され、全体的に見ると数多くの種類が存在します。

 

この中から自分に合うものを見つけるには、どうすればよいでしょうか。今探している作業着には何が必要なのかという視点で選ぶことが大切です。ここでは、普段着にも通じる5つの必要性についてご紹介します。

 

1:着心地はどうか

服である以上、何よりもまず着心地のよさが大切でしょう。どれだけ機能性に優れていても、着る本人にとって快適でなければ意味がありません。

 

気持ちのよい肌触り、思い通りに動ける伸縮性、汗がべたつかないか、その人にとっての着心地のよさとは何なのかを意識するとよいでしょう。

 

 

着心地に関しては直に手で触れて、目で見るのがおすすめの選び方です。最初の一着は店頭などで試着し、追加購入では通販を利用してもよいでしょう。

 

2:機能性はどうか

着心地に次いで重要なのが機能性、言い換えると利便性です。例えばポケットの数や位置、ペン差しの有無、足腰や関節の保護など製品によって使いやすくするための様々な工夫がされています。

 

現場作業中に、機能性に対して不満や改善点を感じたならそれを着眼点とし、要求に応える製品がないか探してみるとよいでしょう。また、間接サポーターや空調ファンなど補助具での後付けも視野に入れて検討しましょう。

 

3:手入れがしやすいか

工事現場は服に大きな負荷を与えます。そのため、日々の手入れが必要となりますが、面倒に感じたり手間を掛けずに済ませたい方も多いでしょう。そんなときは、丈夫さや洗いやすさに注目して選ぶと手入れが楽になります。

 

丸洗い可能の表示、速乾や防汚機能、生地の頑丈さを強調した売り文句などが目安です。また、可能ならいくつか予備を用意して着回すこともおすすめでしょう。

 

4:動きやすいか

工事現場において動きが阻害されないことは、作業効率や安全面から見ても大前提でしょう。建設現場のように足場が不安定なことも多い環境では、自由に動けることは自分だけでなく周囲の命を守ることにも繋がります。

 

動きやすさは着心地と同様、実際に着て確かめるのが大切です。屈伸や跳躍など大きな動きを問題なく行えるかどうか試してみましょう。いざというときに、すぐ着脱できるかもポイントとなります。

 

5:季節に合っているか

作業着はそれぞれに特徴を持ちますが、その特徴が季節ごとの気候に適しているかどうかも大事です。例えば、保温性能が高いものは冬の寒さに対して活躍しますが、夏の暑さでは逆効果になる可能性があります。

 

季節に合わせて何着か揃え、使い分けましょう。使い分けるのが面倒だ、という方にはオールシーズン対応の製品もあります。

 

 

インナーやジャケット、後付けファンで細かく温度調節するのがおすすめです。

 

5つのシーン別!作業環境に適した作業着の選び方

作業環境は工事現場やその段階によって大きく異なります。そして環境が違えば服に求められる機能もまた変わります。業務内容に適した服装は仕事の基本でしょう。

 

5つの作業環境を例に、どのような作業着が適しているのかを紹介します。

 

1:火や熱を扱う作業現場

火災リスクのある現場では難燃・防炎機能が必要不可欠です。火傷を防止するため露出する肌面積が小さく、溶融しない生地が用いられているものが理想です。熱による不調を防ぐため、空調ファンの利用も推奨されているでしょう。

 

また、ガスを扱う現場のように静電気が火災を引き起こす恐れがあるなら帯電防止、汗を大量にかく夏場なら速乾および抗菌・防臭と、複数の機能を組み合わせる場合もあります。

 

2:火気厳禁の工事現場

火気厳禁の現場は、静電気放電が原因で引火や爆発事故が起こる可能性があります。そのため、静電気に対して効果のある帯電防止機能が必要です。

 

帯電防止機能には制電レベルが設けられているため、作業環境に応じて選びましょう。そのほかにも季節や、手入れのしやすさを考慮して適切なものを選びましょう。袖口の開け閉めができると寒暖にも対応できるため、便利です。

 

3:精密機器を扱う現場

精密機器を扱う現場は静電気のみならず、塵や埃すら故障を招く可能性があります。ほんの微かな静電気も防止するためには、高い制電レベルを持つIEC(国際電気標準会議)規格に適合した帯電防止服が適しているでしょう。

 

そのほか帽子などで頭部を覆ったり、静電気対策された工具を使用したりと、衣服以外にも気を付ける必要があります。

 

4:夜間作業を行う工事現場

見通しの悪い夜間作業では、作業員同士や車両との接触事故の危険性が上昇します。これを防ぐためにおすすめされるのが、高視認の服です。

 

高視認とは、車両の運転者に存在を少しでも早く視認させるための機能で、昼間は蛍光色、夜間は光を反射する再帰性反射によって視認性を高めることが可能です。

 

 

帯電防止と同様に複数の規格があり、レベルが上がるほど蛍光素材と再帰性反射材の使用面積が広がっていくとされています。

 

5:海沿いまたは屋外の工事現場

強い風に晒される現場では蓄熱や保温に加えて、防風機能を持たせた服装が適切でしょう。ただし身動きを妨げないためにも、生地の厚みではなく素材の機能によって保温を実現している製品を選びましょう。

 

防風ニットジャケットが具体的な例となります。また、防水もできると理想的です。

 

 

普段は保温機能のある作業着を着用し、雨や風が吹いてきたらその上から作業用合羽を羽織るのもよいでしょう。

 

最近の作業着事情

かつては無骨で実用性重視という印象が主だった作業着ですが、近頃は現場作業員やメーカーの意識に変化が訪れています。

 

デザイン性への需要が増し、今ではスーツに見えるものや、普段使いしても問題ないようなお洒落なものも販売しているようです。

 

 

スーツと作業着のスタイルを簡単に切り替えられたり、生地がデニムだったりと、新たな工夫や発展が続いています。

 

工事現場の環境や自分にあった作業着を選ぼう!

工事現場の環境に適合した機能は、事故を未然に防ぎ自分と周囲の安全を守ることに繋がるでしょう。体格や要望を満たした服による快適さは大切です。

 

理想的な作業着を探し出し、自分に合った作業着を身につけましょう。